宝函 Vol.45, No.3 2024_P9
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血球形態の異常は、血球形態観察の経験・知識がある人にとっては実際に塗抹標本を顕微鏡で観察すれば容易に認識できる。かつては医師も自ら塗抹標本を作製・染色して観察を行っていた。しかし現在では、特定の医師を除いては自ら血液像・骨髄像を観察せず、臨床検査室から報告された形態異常を用語で確認するのみである。血球形態の異常には大きく分けて腫瘍性の形態異常と非腫瘍性の形態異常がある。急性白血病等で認められる腫瘍性増殖をしている血液細胞の形態異常は、大きさ、N/C比(核/細胞質比、図1)、核の構造、細胞質の好塩基性等、細胞個々の形態の表現で報告されることがほとんどである。したがって、細胞形態観察の経験がない医師でもある程度の細胞形態を推定することはでき、腫瘍性の増殖であることを認識できる。最近では細胞画像をつけて報告されることもあり、このような場合、腫瘍細胞の形態確認は容易である。一方、非腫瘍性の血球形態異常は、ほとんどがその形態異常を示す用語で報告されている。すなわち、結果を受け取った医師は、その用語がどのような形態変化なのか、そして、どのような原因で出現するのかを理解する必要がある。しかし臨床検査室からの血球形態の変化に関する報告は、十分理解されていないことが多いと感じる。本稿では検査結果を受け取る医師を対象に、主に非腫瘍性の形態変化について、どのような形態変化がどの用語で報告されるのか、またどのような病態でその形態変化が出現するのか、血球形態に関する検査結果の見方を述べる。はじめに

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