秋の白米千枚田の棚田(石川県)編集後記 白米千枚田は輪島市白米町に位置し、1,004枚の小さな田が連なる約4ヘクタールの棚田です。農林水産省の「つなぐ棚田百選」や文化庁の「国指定文化財名勝」に選定され、その歴史的価値が認められています。田の面積は18平方メートルほどで、最小の田は50センチ四方程度です。機械が入れないため、田植えや稲刈りは手作業で行われ、2014年には日本古来の「稲代田」農法が復活しました。 能登半島地震では甚大な被害を受けましたが、過去の災害から復活してきた千枚田は、今年も田植えが行われています。少しずつ復活し、再び、四季折々の美しい風景が楽しめることが期待されています。※本文は9月15日時点のものです。令和6年9月の豪雨 で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 過去数年の10月発刊号の編集後記では、夏の暑さに関連したことを紹介してきました。昨年は、グテーレス国連事務総長の「地球沸騰の時代」という警句を紹介しましたが、今年の夏の暑さとゲリラ豪雨も毎年繰り返される出来事の1つになってしまったように感じます。 違った意味の熱さは、コロナ禍の影響なく有観客で開催されたパリ2024オリンピックとパラリンピックでの日本選手団の活躍で、数十年ぶりのメダル獲得とかその競技では史上初のメダル獲得といった話題やパラリンピックでのメダルラッシュは明るいニュースでした。一方、勝者・敗者ともにオリンピックへの思いの強さが様々な感情表現となる姿を目にして、我が身の来し方を振り返って何かに熱くなっていた若い頃を思い出していました。 8月最終週には臨床検査関連の学会がありましたが、台風10号の影響で参加できませんでした。この台風は自転車並みの速度で日本に近づいてから約1週間ふらふらしながら各地に被害をもたらしました。気象予報士によると、日本が亜熱帯化していることが原因で、台風10号のような進み方になったという説明でした。気候の亜熱帯化による経験したことのない疾病が流行しないことを願うばかりです。 さて、読者の皆さんは既にお気づきのことと思いますが、第45巻からCONTENTSの内容が再編されています。本号の内容も、検査UPDATEでは尿検査による新規潰瘍性大腸炎マーカーのPGE-MUMについて、疾患REVIEWではパーキンソン病、神経芽腫、そして移行期・成人期の食物アレルギーについて、最新の知見が紹介されています。検査Q&Aではβ-D-グルカン検査のキットごとの特徴から臨床応用におけるピットフォールについて詳しく述べられています。検査EXPERTでは血球形態変化に関して検査サイドと臨床サイドでの情報共有が重要であることが示されています。SCENEでは多量の柿を摂食することで形成される柿胃石の診断・治療について紹介されています。多岐にわたる興味深い内容になっており、日常診療で役立つポイントや臨床検査についての知識をアップデートしていただければと思います。(文責:事務局) 57登 勉三重大学 名誉教授
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