尿中薬物スクリーニング検査は薬毒物中毒が疑われる患者に対して、原因物質の推定を迅速・簡便に行うものである。主に救急医療の現場で用いられており、一般医家にはなじみの薄い検査と思われる。しかし、厚生労働省ホームページによると、2017 年度の薬物事犯検挙者数は大麻取締法3,218 人、覚せい剤取締法10,284 人であり1)、2017 年の薬物使用に関する全国住民調査2)では有機溶剤、大麻、覚せい剤、コカイン、MDMA、危険ドラッグのいずれかの薬物を経験した推計数は2.3%と決して少ないものではない。したがって、日常診療、検査の中で出会う可能性があり得るものといえる。本稿ではどのような時に薬毒物中毒を疑うか(トキシドローム)、尿中薬物スクリーニング検査、違法薬物と法的問題について述べる。なお、中毒診療全般については、「AntaaSlide 医師・医学生のためのスライド共有」での山本康之氏によるもの3, 4)が参考になると思われる。はじめに
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