新型コロナウイルスのパンデミック下で医療体制を十分に取れない事態が発生し、医療従事者が疲弊していることが報告されてきた。ウイルスの脅威だけでなく、実際に多くの人がメンタルヘルスの危機を経験することになったわけだが、そうした困難に打ち克ち幸福感を保つことができる心理的要因にはどのようなものがあるのだろうか。国民に対する調査によると主観的な幸福感の規定因としては、家計の状況(所得・消費)、健康状況、家族関係、精神的なゆとり、就業状況(仕事の有無・安定)、友人関係、自由な時間などが挙げられている1)。コロナ禍では、収入や就業状況という社会的要因以外にも、健康状態の悪化や精神的なゆとりを失うことで幸福感が減少した人も多くいたと考えられる。はじめに
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