宝函Summary_44-1
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ヒトのシラミ症にはアタマジラミ、コロモジラミ、ケジラミがあり、それぞれ頭髪、衣服の線維、陰毛や腋毛に寄生し吸血する。アタマジラミとコロモジラミの形態は類似しており、幼虫は1 mm、成虫は2~3 mmで細長く毛髪に近い色調をしている。一方、ケジラミは丸形で、アタマジラミやコロモジラミとは容易に区別できる。シラミは脚の先端に鋭い爪を持ち、毛髪や陰毛、衣類の線維に特化してしがみつくため、洗髪や通常のクシでは除去できない。卵は白色で光沢があり、一見フケのように見えるが、毛髪に強固に固着しているため簡単に除去できない(図1)。アタマジラミに羽はなく飛ばないため、主に頭髪同士の直接接触により感染するが、虫体自体は動きが速く容易に観察できない。寿命は約1か月で雌は1日に3~4 個の卵を産み、ヒトから離れ吸血できないと2、3 日で死ぬ。初感染の場合、寄生されて4~6週間後に感作が成立した時点で、他の虫刺症と同様に、アタマジラミの唾液成分に対するアレルギー反応として、瘙痒が出現する。アタマジラミは幼児や児童、家庭内などで集団感染し、コロモジラミは路上生活者など不衛生な環境下でみられる。ケジラミは性感染症の一種である。はじめに

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